SportsTrackLive.com を使ってみた

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1.突然の ayvri.com のサービス停止

パラグライダーをしている人には良く知られている、GPS ログを 3D 地図上でアニメーションでツアー表示してくれる webサービス「ayvri.com」。

グランボレでは、スクールとしても個人でも、GPSバリオやスマートフォンで取得したフライトの GPSトラックログを後から自分自身で見返したり、他のパイロットのログと比較して解析をする際に「ayvri.com」を使ってきました。

一人で真剣に他のパイロットの GPSログと比較してフライト技術や判断を見直して解析するにも、クラブのメンバーはもちろん仲間内であーだこーだフライトについて駄弁るにもよい。

で、その ayvri.comについて、Facebook をつらつらと眺めていたらちょっとショックな投稿が目に入ってきました。

なんと、サービス停止。。。

既に有料版のプロアカウントは新規の受付をストップしており、2022年10月1日には GPS ログのアップロードも3D地図上のアニメーションページも作成できなくなり、2022年10月31日にはこれまでアップロードしたログと作ったページも削除されるとのこと…。

上に画像を表示した ayvri.comでの 3Dアニメーションも、既にアップロードした GPSログとは全く違うフライト内容で表示されるようになってしまっていました。。。(涙)

オーストラリアのサービスだったのかとか、政府の支援を受けて立ち上がったサービスだったのか、どこか買収してくれよんとか、Doaramaというサービス名で始まったころからお世話になりました等々、書かれている内容が色々感慨深いところではありますが、それよりなにより「これから、フライトの解析やトラックログの共有をどうしよう?」という悩みが産まれてしまいました。

なので、代替はないかと google 先生に「ayvri alternate」と聞いて探してみました。

で、paraglidingforum.com で挙がっていたのがこちらの「SportsTrackLive」。

フランス企業のサービスらしく、スマートフォンのブラウザで最初にみたときはフランス語表示で「ブラウザの翻訳機能使うか…」と言葉の壁にとまどってしまいましたが、PC で見てみると自動的に英字表示に。

ということで使ってみました。(と書いている今、日本語ページがあることを確認しました。以下、英語表示のページが中心で日本語表示のページが混ざりますがご了承を!)

スマートフォン向けのアプリがあり、アクションスポーツのライブトラッキング用途を想定したサービスのようですが、やりたいのはフライト後にフライトログを解析すること。なので、別にアプリを使わなくてもおっけー。主に下記が要件。

  • 3D 地図上でフライトログをアニメーションツアー表示してくれる
  • 複数パイロットのログを同一アニメーションでツアー表示できる
  • 特定の専用デバイスだけでなく、スマートフォンアプリや一般的な GPSバリオのログファイルをサポート
  • igc ファイルをはじめ、一般的なログファイルをサポートしている

ライブトラッキングの機能も大いに気になるところですが、まずは、この要件に絞って使ってみたいと思います。


2.パラグライダーのフライトログ解析用途での利用に期待できそう!!

結論を先に書くと、有用に使えそうです。SportsTrackLive.com 自体がパラグライダーでの利用を十分想定して最適化を図っているように感じます。

ザックリ試してみただけですが、各要件についてそれぞれレポートしてみたいと思います。

(1) 3D 地図上でフライトログをアニメーションツアー表示してくれる

まずは、こんな感じ。

ayvri.com と同じように、フライト中の地上位置を知るのに同じように影の表現があってよい。と、画面左には ayvri.com にはない風向風速表示の矢印も。

実際のサイトはこちら。見終わった後に放置していると、有料の「プレミアムユーザーになれ!」って感じの催促が来るので要注意。最初はなんか怒られたのかとドキッとした(笑)フィッシング詐欺かと…

ログファイルのアップロードの仕方は、「Upload Track」と ayvri.comでもおなじみだった「Create Scene」の二つ(日本語サイトだと「活動を追加」と「シーンを作成」)があります。「Upload Track」でアップロードするとアーカイブされ 2D 地図のトラックをみることができます。

2D地図の画面には、Max Alt. や Speed はもとより、なんとサーマルの解析まで表示されます。(9/14/22 追記:情報をいただきました。トライアングルXCの距離表示やどうやら、FAIスコア等々も表示されるようです。すごい!)

(2) 複数パイロットのログを同一アニメーションでツアー表示できる

複数パイロットのログを同一アニメーションでツアー表示することも普通にできます。

複数ログを同一アニメーションでツアー表示させる方法は、どうやら二つあります。

(a)複数ファイルをアップロードする

自分のアカウントで「Upload Track」か「Create Scene」をする際に、複数のログファイルをアップします。

すると、最初から複数のログが表示されたアニメーションとなります。

フライトログ解析用のデスクトップアプリの seeyou と同じようなファイル操作というか….この機能、スクールで初心者の方のログを 3D地図上で表示するにはとっても便利。

フライト後に、その方個人のアカウントを作って、GPSバリオからのログファイルの取り出し方やアップロードの仕方を教えて、ログファイルをアップロードしてと順を踏んでやっていると、だんだん日も暮れて初心者の方の目も死んだ魚のような目に変わり果ててきますが、これならスタッフ管理のアカウントで一括アップロードしてしまえばおっけー。

アップロードしたログファイルに記載されているパイロット名が、3D地図の画面上でパイロット名として表示されます。これも、スタッフ管理のアカウントでアップロードしてしまっても、その方のログであることが表示されてとっても良しです。

無料アカウントだと同時表示可能なのは 4ファイル(4トラックログ)までで、$7.16/月のプレミアムアカウントのサブスクリプション契約をすると制限がなくなるようです。

(b)勝手に同時間帯の同じ場所にいるログをアップしているアカウントが候補表示される

自分のログをアップロードして未完了後にプロファイルのページへ行くと、アップロードしたログの 2D 地図上での軌跡のサムネイルが見つかります。

他のアカウントが同時刻の近接するログをアップしている場合、このサムネイル上に「この活動に xx人のメンバーがいる」と表示されます。

これをクリックすると、候補のアカウント名が表示されるので、チェックをして「リプレイ 3D」ボタンをクリックすると複数ログを同一アニメーションでツアー表示をすることができます。

ayvri.com の「near by」で候補表示されるやり方に慣れている方は、選択するタイミングこそ異なるものの、こちらのやり方での複数ログを同一アニメーションでツアー表示のほうがしっくりいくかと思います。

ayvri.com の場合、ファイルを一旦アップロードした段階で候補表示がされ、選択をすると複数ログが同時表示される scene が固定で表示されましたが、こちらは scene を表示する毎にどのアカウントを同時表示するか選択して再作成ができるようです。また、あとから別のアカウントから同時刻同じ場所でのログファイルが追加されると追加で候補が表示されます。

これも、無料アカウントだと同時表示可能なのは 4トラックログまでで、$7.16/月のプレミアムアカウントのサブスクリプション契約をすると制限がなくなるようです。

ということで、やりたいことはおおよそできるという以上に、ayvri.com より機能的に充実しているように思います。その分、何となくayvri.com よりコンピューターリソースを喰いそうな気がするのがやや気になる…

手持ちの同時刻同じ場所でのログファイルがあまりなく、細かく試せないので、このあたりは改めてご協力いただける方と一緒一緒に飛んでどんな機能なのかを把握していきたいと思います。ということで、一緒に飛んで試してくれる方や情報交換していただける方を緩募~。

(3)特定の専用デバイスだけでなく、スマートフォンアプリや一般的な GPSバリオのログファイルをサポート

SportsTrackLive.com はライブトラッキング用の web サービスで、スマートフォンでのライブトラッキングを行うアプリを Android でも iOS でも提供しています。

これらの専用アプリからのログファイルのアップロードはもちろん可能ですが、ウェブサイトからファイルを直接アップロードすることも可能です。

なので、今まで同様に Android 端末でXCTrack や Livetrack24 を使い取得したログファイルをスマートフォンや PC から SportsTrackLive.com にアップロードすることも、同様に一般的な GPSバリオのログファイルをアップロードすることも可能です。

この点、専用のデバイスやアプリに閉じず、オープンなサービスで好感がもてます。

(4)igc ファイルをはじめ、一般的なログファイルのフォーマットをサポートしている

SportsTrackLive.com がサポートするファイルフォーマットは、GPX, SBP, FIT, IGC, KMLだそうです。私的には十分ですが、いかがでしょうか?


3.ライブトラック機能を試してみる

最後に、少しだけライブトラッキングの機能を試してみました。

ライブトラッキングに必要な SportsTrackLive.comのアプリをみてみると、有料版のプレミアムアカウントはグルーピングができる機能があったり、日本国内でも購入可能な GPSバリオ「XCTracer」 と接続できたりと、これはこれでなかなかに面白そうです。(XCTracer Mini がもう少し安価なら学生等にはもうこの組み合わせを推したいし、最近増えているSIM搭載の GPSバリオでライブトラックもログファイルもアップロード先が変にロックインされるより XCTracer でこのアプリ使う方が魅力的に感じます。)

アプリはAndroid 版だけでなく iOS 版もあるので、iOS でも Android でもログをとってそのままアプリ上から一気通貫でログファイルをアップロードできたら、情報通信機器に不慣れな方でもGPS ログを使った解析やフライトの共有の仕方を伝えられて、より深いパラグライダー沼に沈め営利を貪える簡単に出来てよい。

ということでライブトラッキングというよりアプリからのログファイルのアップロードの観点で試しに使ってみたのですが、やってみたところ朝 9時前にアップロードしたファイルが 20時過ぎにアップロード完了したり、お昼にアップロードしたファイルも同様だったりと、即行性がちょっと気になりました。

これだと、一番気にしていた iPhoneでのGPSログの精度やバッテリー消費の問題以前に、アプリからの一気通貫アップロードはちょっと難しいか。ウェブからのファイルアップロードだとわりとすぐに完了するけど何故?

まだ使い方もよくわからないので、もう一度ライブトラッキングの部分含めて、試してみたいと思っています。

フライト専用の Android 端末でXCTrack や Livetrack24 からログファイルを抜いてアップロードという行為や GPSバリオを PC につないだり BLEでスマートフォンにつなぐことに、リテラシ的にも嗜好性的にもついていけない方向けに iPhone で綺麗な 3Dアニメーションのログを公開できるソリューションが欲しいのですよね。

複数のGPSログをアニメーションでツアー表示してのフライト解析といえば、一昔前はデスクトップアプリの seeyou 一択だったようにおもいます。フライトの軌跡のなかでサーマル強度もカラー表示される点では、いまだ seeyou に一日之長はあります。ですが、GPSバリオからログファイルを取り出して PC の seeeyou で開くという行為が障壁となるだけでなく、UI という点でも閲覧はデスクトップで閉じられてしまうという点でも固く、スマートフォンのアプリから一気通貫に綺麗な表示で自慢しやすいオンラインの 3D地図上でのアニメーション表示できたら、ログを見直すことを普通にするとっかかりに良いのですよね。

ということで、とりあえず使ってみたレポートは以上になります。

seeyou.cloud と seeyou navgator にも期待だけど、いかんせん XC プランナーとログブック的機能にフォーカスしており今回の要件での利用にはいまいちミートしない。FlymasterLivetrackingLivetrack360 も素晴らしいけど、ややクローズドで同様。

SportsTrackLive.com は ayvri.com の代替として、十分以上に活用できるような気がしました。

追加記載:

私の環境だと、最初はフランス語サイトだったし、何故だか日本語サイトが表示されず英語サイトが表示され続けました。(ブラウザの言語設定みてそれぞれの文字のサイトに画面遷移するように組んでないの?)

しかも、サイト上に言語の切替の為のアンカーはありません。

私と同じように日本語サイトが表示されない方は、アカウント作成後にプロフィールページで言語設定を日本語に変えて保存すれば、無事日本語サイトがデフォルト表示されるようになるようです。