テイクオフ時のプロトコル

グランボレのテイクオフ時の標準プロトコル(手順・規則)は下記のとおりです。

目次

プロトコルの要点

テイクオフの手順は、JPAならびに JHF が教本に定め、これまでも会員の皆様に実施いただいている「プレフライトチェック」から「スタートチェック」までの一連の手順や所作から大きな変更はありません。

グランボレでは、上記に加えパラグライダーのフライトで致命的なアクシデントにつながる代表的なヒューマンエラーである、「レッグベルト締め忘れ」を防止するクラブ全体での人的な「仕組み」を確立するため、手順の統一化と下記項目について実施内容の標準化また強化を行います。

  • クロスチェック(ダブルチェック)
  • 指差喚呼(スタートチェック)
  • テイクオフ無線コール

ヒューマンエラーやインシデントの原因や再発防止を人の姿勢や精神論に求めることが間違いであることは、全ての産業のみならず全ての人の活動の安全管理を行う上での常識です。「レッグベルト締め忘れ」は、パイロット本人の技術や習熟度また、年齢や性格に関わらず、どんなに注意をしていても全てのパイロットが起こし得ます。

安全性の向上には、発生したリスク事象を再発防止するための「仕組み」が必要です。

手順の統一化と標準化により、誰もが全てのパイロットのテイクオフの準備に対し誤りや異常に気が付ける体制をつくり、本プロトコルを防止のための人的な「仕組み」とします。グランボレでのフライトはもちろん、ビジターフライトの際にも同行グループで本プロトコルによるテイクオフの安全管理のもと楽しいフライトを行って下さい。

安全管理手順と「クロスチェック」

テイクオフは、下記の安全管理手順を実施してから行ってください。

「クロスチェック」は、「レッグベルト締め忘れ」を防止する最も重要な仕組みです。手順に則り、正しいクロスチェックを行ってください。

(テイクオフ手順表:ソロフライト)

項番

実施内容

実施場所

1

プレフライトチェック

  • キャノピーの破損やクラバット等のチェック
  • パラグライダーのラインのチェック
  • レスキューパラシュートのピン、グリップの確認
  •  他

プレフライトゾーン

2

ハーネス装着とセットアップ (※1)

  • ハーネスを装着しカラビナをライザーに装着、もしくは、プレフライトチェック完了後ライザーをカラビナに接続し据え置いたハーネスを装着

プレフライトゾーン

もしくは、

テイクオフゾーン

3

「チェック5」のセルフチェック (※2)

  • 下記5項目をパイロット自身で確認

①  レスキューピン

②  ラインチェック

③  レッグベルト(とチェストベルト)

④  無線

⑤   風の状況

プレフライトゾーン

もしくは、

テイクオフゾーン

4.1

クロスチェック (※3)

  • 自分以外のパイロット、もしくはテイクオフディレクターに「クロスチェック」を依頼
  • 依頼された者は、下記項目に関する「クロスチェク」を行い異常がある場合パイロットに通達

①  レッグベルト

②  チェストベルト

③  カラビナ(ライザーとの接続とロック)

プレフライトゾーン

もしくは、

テイクオフゾーン

4.2

セットアップ完了

  • プレフライトゾーンで準備をした場合、テイクオフゾーンに侵入しセットアップを完了

テイクオフゾーン

5

無線コール

  • 「テイクオフ無線コール規則」に従い、ランディングディレクターに無線でテイクオフ意思を伝達

テイクオフゾーン

6

「指差喚呼」とスタートチェック (※4)

  • テイクオフ直前に下記について指差喚呼を行う

①    レッグベルト

  • あわせて、スタートチェック(7チェック)残り項目を確認

②    ライン

③    キャノピー

④    カラビナ

⑤    ライザー

⑥    アクセル

⑦    空域

テイクオフゾーン

(補足)

  • 全体を通して、赤字箇所がこれまで実施頂いている内容、また JPA・JHF教本からの主な変更点、重要箇所です。
  • 手順表に記載の各注意点については、下記の通りです

項番

補足内容

※1

  • ハーネスの装着はレッグベルトから(下から)行ってください。

※2

  • 『3.「チェック5」のセルフチェック』は、プレフライトゾーンでもテイクオフゾーンに侵入してからの実施でも問題ありません。
  • 「フライトをするためにハーネスを装着し終わった段階でチェック5のセルフチェックを必ず行う」という理解で実施をしてください。

3

  • 「1クロスチェック」の実施は、プレフライトゾーンでもテイクオフゾーンに侵入後の実施でも問題ありません。プレフライトゾーンで実施した場合、その後テイクオフゾーンに侵入し「4.2セットアップ完了」をしてください。テイクオフゾーンで実施する場合、「4.2セットアップ完了」をしてから「4.1クロスチェック」を実施してください。
  • テイクオフ失敗等によりハーネスを外した場合、ハーネスを装着した段階で改めて同様の手順で「クロスチェック」を実施してください」。
  • 「クロスチェック」を依頼されたパイロットは、しっかりとレッグベルトをつかみ左右に引き抜く力を加えて確実なチェックをして下さい。
  • 万が一、テイクオフディレクターを含め自分以外のパイロットが不在の場合は、クロスチェックのみを省略し、より慎重に手順を進めてください。
  • 「クロスチェック」は、実施内容柄、本来は「ダブルチェック」の用語が適切です。現時点で本文面では JHF教本に則り「クロスチェック」の表記としますが、「ダブルチェック」と表現を頂いても問題ありません。

※4

  • パラグライダーのフライトはエアマンシップに基づきパイロットの自己責任においておこないます。テイクオフ直前に「指差喚呼」のあとに必ず「7チェック」を実施して、パイロット自身の責任の基で安全なフライトを行ってください。
  • クロスチェックを実施してくれたパイロット等に安全管理の責任をゆだねないよう、くれぐれも留意ください。

テイクオフ無線コール規則

テイクオフ時のランディングディレクターへの無線コールは下記を目的に実施します。

  • インストラクターの誘導や、万が一の場合のパイロットとの唯一の通信手段である無線の疎通確認
  • ランディングディレクターがテイクオフするパイロットを正しく認識し、無線誘導やインストラクション等の個々のパイロットに対し必要なフライトのサポートを想起するための確認
  • パイロットが指差喚呼で確認した項目のうち、エラーや漏れがあると致命的なアクシデントが発生する可能性が高い項目の再確認

下記規則でのコールを実施し、ランディングディレクターの返信を待ってテイクオフをしてください。

項番

コール内容

コール例

1

ランディングディレクターへの疎通確認

「ランディングディレクター xxxさん取れますか?」

2

場所、パイロット名の通達

「テイクオフ、xxx です」

3

クロスチェック実施の通達

  • クロスチェックをしてもらった相手の名前
  • クロスチェックの実施

「xxxさん実施で、クロスチェックはOKです」

4

テイクオフタイミングと意思の疎通

「風を見て出ます」

「すぐにテイクオフします」

「xxx さんの後にでます」

5

セットアップ完了

  • プレフライトゾーンで準備をした場合、テイクオフゾーンに侵入しセットアップを完了

テイクオフゾーン